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hr102
廃工場の煤けた天井に、少女の甲高い悲鳴がが響いている。
「やめて、痛い、痛い、痛いよぉ…もう止めて、もう許して…!」
制服姿のまま縛り上げられ、下半身を露わにされた惨めな姿の少女が、三角形の台座に乗せられている。その台座には頑丈なチェーンが取り付けられており、そのチェーンは天井のホイストにつながっている…。
「それでは、第一の質問といこうか。」
男は工業用のコントローラを持ち、ボタンの上で指を遊ばせながら、楽しげな笑みに顔を歪ませた。
「大宝律令が発令されたのは西暦 701 年だが、これは日本の元号で何年になるかね?」
「な…何よそれ…そんなの、関係ないじゃないっ!!」
「ブーッ。第一の質問、不正解。」
男がボタンを押すと、ギューンとモーターの動く金属音と共に台座が持ち上げられた。股間に食い込む激痛に、少女は金切り声を上げて絶叫する。
「止めて、止めて止めて止めて〜っ!!嫌だ、嫌だよもう、下ろして、頼むから下ろしてっ!!」
「では、第二の質問だ。」
男は少女の哀願に耳も貸さず、むしろ皮肉に満ちた口調で言葉を続けた。
「メタンの化学式は CH4、ベンゼンの化学式は C6H6。では、パラジクロロベンゼンの化学式は?」
「し、知らない、知らないそんなの、こんなのムチャクチャだよぉ!」
「ブーッ、第二の質問も不正解。」
再び巻き上げられるホイスト、更に遠くなる床。彼女が身体を捩って足掻くたび、太いチェーンがギシッ、ギシッと陰気な音を立てて左右に揺れる。
「では、第三の質問。用意は良いかね?」
もはや、自らに強いられている不条理について憤る余裕すらもない。降ろして欲しい一心で、彼女は男の言葉に耳を傾ける。
「ハリネズミを英語でポーキュパインと言う。では、英単語「ハリネズミ」の綴りを言ってみてごらん?」
幸か不幸か、英語は彼女の得意とした科目だった。激痛に朦朧としがちな頭を振りながら、彼女は必死に記憶を絞り出そうとする。
「P、or…cup…i、n、e…!」
「ブーッ。不正解!」
「ど、どうしてっ!?」
「ハリネズミはヘッジホッグだよ、ポーキュパインはヤマアラシだ。」
「そ、そんなっ…ずるいよそんなの、卑怯だよ!!」
彼女の抗議にお構いなく、またもや鎖が巻き上げられた。不条理と激痛と絶望に、彼女の意識が一瞬遠くなる…気がつくと、足元を生暖かい液体が流れ落ちていた。どうやら失禁してしまったらしい…怒りと羞恥で真っ赤になった彼女の耳に、あの冷酷な声が飛び込んでくる。
「それでは第四の質問。三角関数の加法定理によれば sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβだが、β=α-1/2πである時の等価式を述べなさい…。」

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