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hr108
名門チャーリントン女学院で連続して起こる怪事件…その調査を依頼されたポワロ探偵事務局であったが、場所が場所だけにポワロは表立って動けない。その様子を見た助手のメイベルは、止せば良いのに潜入調査を買って出た。

「大丈夫かね、メイベル?私は心配なのだが…。」
「大丈夫ですよポワロさん、まっかせてください♪」

大見得を切ってみせたメイベルだったが、筋金入りのアホである彼女はあっけなく捕まって地下室のような所に閉じ込められてしまう。しかも、首輪まで嵌められて壁に繋がれてしまった。

「何をコソコソ嗅ぎ回っていたのか知らないけど、貴方みたいなイヌにはそれがお似合いよ。」

メイベルを捕まえた謎の男女は、彼女を脅して誰が背後にいるかを聞きだそうとした。それでも、彼女は精一杯の虚勢を張って抵抗する。

「何度聞かれたって同じよ、何も話すことなんてないわ!」
「やれやれ、まだ自分の立場がわかっていないようね…。」
「少し頭を冷やして貰おうか。半日くらいここに閉じ込めておいたら、少しは物分りも良くなるだろう。」
「それまで、もうちょっとお行儀を身に付けておくことね、お嬢ちゃん。そうそう、悪いイヌの躾にはムチだって使うのよ?」

彼らが出て行ってしまうと、メイベルは急に心細くなった。過ぎてゆく時間のことを考えまいとするほどに、心の中の不安は膨らんでゆくようだ。冷たい壁に身をもたれかけ、彼女は必死で涙をこらえている。

「ポワロさん…ヘイスティングスさん…。大丈夫だよね、きっと助けに来てくれるよね…。」

@A_g@Cu`bg