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hr156
「お父さんにどう言い訳しよう。きっとおこられるな。」
…私が最初に考えたのは、そんなことでした。

何がどういう順番で起こったのか、詳しく覚えてはいません。
手首を掴んだ太い腕。
叫び、爪を立て、蹴り飛ばそうとして、
髪を掴まれて頬を張り飛ばされ、
土の匂い。暮れてゆく空。
むしり取られてゆく制服。
のしかかった黒い影。
足を割って入ってくる体重。
そして痛み…。

その男の顔も風体も、朧のように霞んで思い出せません。
えぇ、忘れたいのだと思います。
私にとっては、もう、終わったことなんです。
それは、いけないことですか?

@A_g@Cu`bg