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hr173
毎朝同じ時間、同じ駅で僕は彼女に会う。
一年半前に出会ったとき、彼女はもっと素敵だった。
流れるような黒い髪、校則どおりに着込んだ制服、
美しい脚をぴっちり包んだ濃紺のハイソックス。
だがこの半年ほどの間で、彼女は変わってしまった。
薄汚く脱色された茶髪、切り詰めた校則違反のスカート、
そしてルーズソックス。
その姿を始めて目にしたとき、僕がどれほど打ちひしがれたか
きっと彼女は知らないだろう。
彼女は自分自身がなした罪に気がついていない。
いや、彼女は僕という存在そのものすら気がついていない。
こんなに見つめているのに、こんなに愛しているのに。
だから今日、僕ははじめて彼女に声をかける。
彼女がなした罪にふさわしい罰を与えるために。

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