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hr187-1
少女は、いつもの道を学校から帰っていた。
夏の終わりの空にはどんよりと雲が垂れ込め、しめっぽい雨の匂いがした。
しまった、傘持って来なかったな、でもまだ間に合うよね。
そんな事を考えながら、少し早足に歩いていたことを覚えている。
ブロック塀に両側を囲まれた、狭い近道を通ることにした。
後ろから車がやってきて、彼女は塀に身を寄せて先に通そうとした。
…そして?
覚えていない。あの後どうなったのか。
ただ一つ確かなのは、彼女は家には帰らなかったということだ。
次に気が付いた場所は、家とは似ても似つかない場所だったのだから…。

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