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hr307-1

私が高校に入学した年、パパの会社が倒産しました。
数千万円の借金を肩代わりしてくれたのは、おじい様でした。
でも、パパもママも暗く沈んだ顔をしています。
おじい様は、私を引き取ることを条件にしていたのです。
私はそんなこと聞いていませんでした。
「済まない優子、背に腹は代えられなかったんだ…」
「き、きっとおじい様も、悪いようにはしないわよ…」
二人とも、私の目を見て話そうとしません。
(要するに、私は売られたんだ)

おじい様のお屋敷に上がったとき、すごく嫌な気持ちでした。
おじい様は私を頭から爪先まで、値踏みするように見ています。
まるで視線で身体を舐められているようで、ぞっとします。
「…という訳で、今日からお世話になります。よろしくお願いします」
「フン、何だそりゃ。お前さん、何も聞いてないのか」
「と、申しますと?」
「まぁ、いい。すぐにわかる」
おじい様が合図すると、使用人2人が両側から私の腕を掴みました。
「優子さんを、例の部屋に案内してやんなさい」

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